「再開してほしい」の前に考えたいこと――動物施設と災害リスク
https://www.fnn.jp/articles/-/11224302026年9月、千葉県袖ケ浦市で大雨による土砂災害が発生しました。
袖ヶ浦ふれあいどうぶつ縁にも斜面から土砂が流れ込み、園内に被害が出ています。動物たちは無事だったものの、さらなる崩落を警戒して移動させる対応も取られたと報じられています。
動物好きな人からすれば、
「動物たちが無事でよかった」
「また再開してほしい」
「寄附して応援したい」
と思うのは自然なことだと思います。
私も動物が嫌いなわけではありません。
ただ、今回のニュースを見ていて、どうしても気になったことがあります。
「この場所で、これからも動物を飼育し続けることは適切なのだろうか」
ということです。
ハザードマップを見ると、少し違って見える
ニュースだけを見れば、「想定を超える大雨で動物園が被災した」という話です。
実際、今回の雨はかなり大きな災害だったのだろうと思います。
また、施設側がどのような土砂災害対策をしていたのか、今回の被害が事前の想定をどの程度超えていたのかも、私は十分な情報を持っていません。
したがって、今回の被害だけを見て施設側の責任を断定するつもりはありません。
ただ、ハザードマップを確認すると、施設周辺には土砂災害の危険区域があります。
そして今回は、実際に斜面から土砂が園内へ流れ込んでいます。
そうなると、
「この場所で動物を飼育することのリスクを、改めて考える必要があるのではないか」
と思ってしまいます。
人間なら避難できる。でも動物は?
ここで気になるのが、動物の避難の難しさです。
人間なら、危険が迫れば自分で避難できます。
もちろん、高齢者や障害のある人など、避難が難しい人もいます。だからこそ、福祉施設などでは、災害時の避難が困難であることを考えて、立地そのものをより慎重に考える必要があります。
では、動物はどうでしょうか。
動物は自分で避難先を選べません。
大型動物や多数の動物を、災害が迫ってから安全な場所へ移動させることも簡単ではありません。
そう考えると、
避難が難しい動物を預かる施設だからこそ、立地段階から災害リスクをより慎重に考えるべきだったのではないか
という疑問が出てきます。
「動物施設なら利用できる土地」という考え方
少し踏み込んだことを言えば、私たちの社会には、
「住宅には向かない土地でも、動物施設や農地、レジャー施設なら利用できる」
という考え方が、無意識にあるのではないでしょうか。
もちろん、「動物なら災害に遭っても仕方ない」と考えている人がいる、と言いたいわけではありません。
むしろ動物福祉を大切にする施設なら、動物を守ろうとするのが当然です。
しかし、土地利用の結果として、人間が住むには敬遠されるような場所に、避難することのできない動物たちが集められることになっているのなら、一度考えてみる必要があります。
「人間の住宅ではないから大丈夫」ではなく、
「動物だからこそ、より慎重に場所を選ぶべきではないか」
という逆の発想もできると思います。
「再開してほしい」と「安全に再開できる」は別の話
私は、被災した施設を責めたいわけではありません。
自然災害には想定を超えることがありますし、今回の災害が非常に大きかった可能性もあります。
また、動物たちが無事だったことは本当に良かったと思います。
ただ、今後もし再開を考えるのであれば、
「以前と同じ状態に戻す」
だけではなく、
斜面の安全性をどう評価するのか
土砂の流入をどう防ぐのか
大雨のとき動物をどう安全にするのか
今回の被害を踏まえて、施設の立地をどう評価するのか
まで考えてほしいと思います。
「再開してほしい」という気持ちと、
「この場所で動物たちが安全に暮らせるのか」
という問題は、別々に考えるべきなのではないでしょうか。
被災した動物を見れば、「かわいそうだから助けたい」と思います。
でも、本当に動物を守ることを考えるなら、災害が起きた後に助けることだけではなく、
そもそも、災害時に逃げることが難しい動物をどこで飼育するのか
というところから考える必要があるのかもしれません。
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